車椅子で伊勢崎市議会議員の高橋のぶたかです。
令和6年4月1日から6日までの4泊6日で、アメリカのロサンゼルスに家族で旅行してきました。
なお、市議会議員としての公費での視察ではありません。
全額自費での家族旅行ですが、皆さんと少しでも共有して、参考になれたらという趣旨で報告を書きます。
アメリカで体感してきたことと日本を比較して、バリアフリーを考えてみます。
【ドア】
アメリカは、開き戸。お店も手動の両開き戸が多く、電動開き戸は高級ホテルしか見なかったです。
引戸は、エレベーターくらいしか見ませんでした。
日本は、引戸が多いですね。
車椅子の人やお身体が不自由な人は引戸のほうが使い勝手がいいです。
高齢化が進んでいる日本の住宅の玄関も引戸が増えていますね。
【車椅子のルートがある】
アメリカは、大規模施設は、もちろんですが、小規模のお店でも車椅子の人がアクセスできるようになっています。
日本のように、小さなお店ですと、玄関に1か2段の段差があるお店の方が多いですが、アメリカでそのようなお店を探す方が難しいくらいでした。
この徹底ぶりは、ADA法(Americans with Disabilities Act of 1990障害を持つアメリカ人法)という、しっかりした法律があるおかげです。
「車窓から撮ったお店」
障害者駐車場、車椅子のルートなどの標識がありました。
どんなに小さなお店でも、必ず明示されていました。
「人気のハンバーガーショップ」
満車でしたが、玄関前の障害者用駐車スペースは、しっかり空いていました。
看板に、違反したら250ドルの罰金と書いてあるようです。
「小学校の裏口」
敷地に入る門、スロープの場所、玄関ドアの全て車椅子マークがあり、下調べなしで英語も分からなくても迷わず行けました。
【公共交通】
バスに1度だけ乗りましたが、ノンステップで電動反転スロープタイプでした。アメリカでは、車椅子が乗れないバスが走っていないのではないかと想像してしまいます。
スロープ車のUberに5回、タクシーに1回乗りましたが、車椅子の介助に非常に慣れています。車椅子の利用者が多いことを現しています。
車内の車椅子の空間も広いです。
夜遅くに、スロープ車を呼んでもすぐ来て、ビックリしました。
日本では、まだ車椅子が乗れないバスも多いですし、タクシーもまだまだですし、介助に慣れている運転手も多くないと思います。
圧倒的な差を感じました。
【大規模施設】
アメリカのドジャー・スタジアムとディズニーランドから。
入場口、ルート、座席など車椅子の人と一般の人が、極力分かれないシステムとなっていました。
一般の人と特別な人という日本風の感覚と真逆で、分けないのが当たり前なアメリカにいると「自分が障害者だ」ということを忘れさせてくれました。
「ドジャー・スタジアム」
満席のドジャー・スタジアムで野球観戦の途中に、男子トイレに車椅子の私も並びました。男子トイレの大便用のひとつが車椅子の入れる大きな空間だからです。
車椅子だから、特別に先に行っていいよではなく、お前も男だから普通に並ぶんだよという雰囲気を久々に味わい、何だかうれしかったです。
入場口
一般の人も車椅子の人も同じ所から入る。
手続きしているのは、英語が話せる長女。
観客席まで行くまでの一部を動画で撮りました。雰囲気が分かると思います。
・車椅子や電動カートの人が、日本より5から10倍多い感じがしました。そのうちの半分以上は、おそらく肥満による電動カート利用者という感じでした。
・一般の人でも、肥満率が非常に高かったです。
車椅子の人とパートナーが横で並べます。
サイトライン(視界)が非常にいいです。
日本では、場所によってパートナーは後ろに座らなければならないこともあり、一緒に楽しみにくいこともあります。
「ディズニーランド」
こちらも車椅子の人の割合が、日本より圧倒的に多く、電動カートの人が多かったです。
肥満率も多いですが、基本的に体格がいいため電動が多かったです。
様々な人種が多いので、障害者だという特別視もないです。
ディズニーランドに限ったことではありませんが、知的と身体の重複障害の方とご家族の外出割合も、日本より多かった感じがしました。
【車椅子が入れるトイレ】
「アメリカ」
良いところ:小規模なお店でもある(ADA法により、ほとんどのお店に設置義務があると思います)。
一般のトイレの中に、車椅子も入れるトイレがあるという、車椅子の人でも男性は男子トイレという特別視しない意識となっています(異性介助者と共に入りにくいという欠点もある)。
課題:横手すり2方向と便器のみしかなく、法律で義務化されているので必要最小限の設備のみ。
ドアが片開戸、手動ばかりで電動は見たことがない。
※写真は、ロサンゼルス国際空港
「日本」
課題:大規模なお店しかない(バリアフリー法により、2,000㎡以上のみ設置義務)。
特別なトイレのため一般の人と空間を分けており分離社会意識が強い(異性介助者も入りやすいメリットもある)。
良いところ:L型手すりやはね上げ手すり、便器はウォシュレット、緊急用のボタンや、赤ちゃんのオムツ替えシート、大人も横になれる。ユニバーサルシート、オストメイトなど設備が充実している。
ドアは、片引戸で手動もあるが、電動もある。
TOTO、INAXの貢献度は大で、当事者を入れた研究をしていること。
そもそも、トイレに関しての思い、設備の充実さは、別格で世界トップでしょう。
※写真は、羽田空港
【車椅子以外の障害のある人への対応】
アメリカでは、視覚障害者誘導用ブロックは、警告ブロックしか見ませんでした。
誘導ブロックは、一度も見ませんでした。
音響式信号機も、見ませんでした。
人々のコミュニケーションが多いので、非常時に関わらず、平時から挨拶することが当たり前でした。
私も、多くの通行人とすれ違いざまに挨拶を交わしました。
他に、点字や手話、知的障害、発達障害、精神障害の方への社会的環境整備や配慮など、どうなのか体験できませんでした。
ADA法や裁判が多いなどから、しっかり体系化されていると思いますが、今後も研究を続けていきたいと思います。
ただ、障害児者を隠す文化ではなさそうですし、特別扱いして分離した社会でないので、社会参加できているのだろうと思います。
【治安】
一方、アメリカの格差は大きく、近年さらに物価上昇によりホームレスが増加しています。
特にロサンゼルスの上昇率が大きいとのことです。
LAは、理想を追い求めた都市計画つくりのため、安い建物を作れない規制もあり、年収700万円ほどの世帯ではアパートさえ住めなくなっているそうです。
中年以上の車椅子のホームレスの方が非常に多かったです。帰国後、調べてみたら障害年金15万円で、住宅費高騰により最も安いアパートでも13.5万円するそうです。
地域によっては、落書きも多く、ドラッグの臭いもきつかったです。
このような地域は、夜出歩けないでしょう。
格差・治安・環境など日本は、世界トップレベルでしょうね。
アメリカのホームレス問題2018年の記事です。この記事でも恐ろしいですが、今は、さらに深刻な状況になっています。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/6755
※写真は、ロサンゼルス市の中心部近くで、実際に私が撮ったものです。
障害(バリア)は、4つに大別されると言われます。
①物理的
②制度上
③文化、情報
④意識上
【まとめ】
実際にアメリカに行ってみて、バリアフリーを比較するのに、日本より優れているところを感じました。
同時に、日本の方が優れているところもあることも分かりました。
隣の芝生は青く見えてしまいがちですが、一概に、どちらがいいとは言えないということが、よく分かりました。
バリアフリーというひとつの分野には、文化や歴史・地理・経済・世界情勢が関わり合っていることを痛感しました。
世の中から障害をなくす、少しでも解消することを、障害を負った私の残された人生の使命と捉えています。
今回の渡米は、大変意義のあるものになりました。
今後に活かしていきたいと思います。そのためにも、志を共にする仲間との親交や新たな仲間と取り組んでいきたいと思います。
【日本とアメリカのバリフリーへの違いの根源は】
短い期間の滞在で、完全に分かったわけではありませんが、
アメリカという国では、人種も様々で格差が大きいため貧富の差も激しいです。肥満の人も多かったり、DVやドラッグ中毒などのホームレスも多く個性が強いのが当たり前で、その中に障害者がいても別に目立った存在でも何でもないという状況です。
アメリカ社会は、言わば「個人個人が違って当たり前」。
日本は、みんな同じ考えで、同じ価値観が当たり前。なので外国人を今ひとつ受け入れきれない風潮があるのも事実ですよね。
その中で、障害児者は異なる場所の学校や職場などのため、存在さえ知られていなく、社会でも分けられ特別な存在という立ち位置にまだなっています。
日本社会は、言わば「個人個人が同じで当たり前」。
この意識の差が、最も大きな違いに感じました。
アメリカでは、「あ、車椅子の人だ」と子供に指を刺され、親が制止するということが一度もありませんでした。
「障害のある人にどのように声かけをしていいか分からない」とか「車椅子の人にどのよいうにお手伝いしていいか分からない」何て意見は、アメリカでは、ないんだろなと感じました。
逆に、障害者どうこうでなくて「オスソワケ」や「オモテナシ」という精神やまちをキレイに保とうという気質などは、桁違いに日本の方が優れていますので、大事に継承していきたいですね。
異なる価値観の人たちが混在する国では、厳しい法律でルール化しないと、あっという間に無法地帯になってしまうというのが、よく分かりました。
日本は、今後も人口減少していき、外国人を受け入れていく予想(国立社会保障・人口問題研究所(社人研))になっていますが、日本流を維持しつつ、アメリカや他の国のいい部分を参考にしていくことは、今後ますます必要となっていくと思います。
そのためにも、マジョリティとマイノリティのていねいな話し合いを続けていきながら、インクルーシブな社会へと向かっていけたらいいのではと思います。
今、こうして、日本で障害当事者として存在している意味は非常に大きいと認識しています。ぜひ、皆さんと共に、取り組んでいきたいと思います。
コメントをお書きください
幸子 村松 (日曜日, 05 5月 2024 22:00)
素晴らしい家族旅行✈️でしたね。
色々勉強になりました。ありがとうございます。
高橋 のぶたか (日曜日, 05 5月 2024 22:57)
村松さん、ありがとうございました。
少しでも共有できてうれしいです。
今後ともよろしくお願いします。
細野直久 (月曜日, 06 5月 2024 02:30)
ブログでの公表ありがとうございます�
擬似体験出来てありがたいです。
ご自身の目で見て感じたことは一生忘れないことだと思います。
アメリカで生活していた車いす当事者もたくさん居ますので、その方が帰国したら「自分が車いすだと言うことを嫌というほど思い知らされた」と言っていましたので、高橋さんならその意味が少しわかるのではないでしょうか?
ぜひ!そういった方々との交流をお願いして内面的な部分を知れると深まるのかな?と感じています。
色んな国があって、いろんな社会があるのは当然ですが、ADA方が30何以上早く出来たアメリカに学ぶことは多いと思います。
すべての国が同じ平等にはならないと思いますが、良いところは学び!遅れをとっている日本へのguidelinesとしていけると嬉しいですねー。
日本独特の文化や「オスソワケ」などの優れた部分はそのまま逆に世界へ持って行って欲しいですね!
高橋 のぶたか (月曜日, 06 5月 2024 21:33)
細野さん、短い期間の滞在でしたが、その意味が分かった気がします。
アメリカという国では、人種も様々で格差が大きいため貧富の差も激しいです。肥満の人も多かったり、DVやドラッグ中毒などのホームレスも多く個性が強いのが当たり前で、その中に障害者がいても別に目立った存在でも何でもないという状況です。
アメリカ社会は、言わば個人個人が違って当たり前。
日本は、みんな同じ考えで、同じ価値観が当たり前。なので外国人を今ひとつ受け入れきれない風潮があるのも事実ですよね。
その中で、障害児者は異なる場所の学校のため、存在さえ知られていなく、社会でも分けられ特別な存在という立ち位置になっています。
日本社会は、言わば個人個人が同じで当たり前。
この意識の差が、最も大きな違いに感じました。
アメリカでは、「あ、車椅子の人だ」と子供に指を刺され、親が制止するということが一度もありませんでした。
「障害のある人にどのように声かけをしていいか分からない」とか「車椅子の人にどのよいうにお手伝いしていいか分からない」何て意見は、アメリカでは、ないんだろなと感じました。
逆に、障害者どうこうでなくて「オスソワケ」や「オモテナシ」という精神やまちをキレイに保とうという気質などは、桁違いに日本の方が優れていますので、大事に継承していきたいですね。
異なる価値観の人たちが混在する国では、厳しい法律でルール化しないと、あっという間に無法地帯になってしまうというのが、よく分かりました。
日本は、今後も人口減少していき、外国人を受け入れていく予想(社人研)になっていますが、日本流を維持しつつ、アメリカや他の国のいい部分を参考にしていくことは、今後ますます必要となっていきますね。
そのためにも、マジョリティとマイノリティのていねいな話し合いを続けていきながらインクルーシブな社会へと向かっていけたらいいのではと思います。
今、こうして、日本で障害当事者としている意味は非常に大きいですね。細野さん、今後も共に取り組んでいきましょう。宜しくお願いします。
※返信、気合い入れて書いて、いいこと書いたので、一部本文に入れておきますね。