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名古屋城天守閣の「史実に忠実な復元」と「バリアフリー化」について

車椅子で伊勢崎市議会議員の高橋のぶたかです。

 

障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークの仲間たちと、名古屋城正門前にて

 

名古屋城天守閣を建て替えるのに、エレベーターを地上1階までしか設置しない。しかも、家庭用の小さいエレベーター。

名古屋市さん、本当ですか?

 

これほど大規模な木造建築に携わったことがありませんが、建設業に携わってきた私の現在の考えです。

 

急勾配の階段で最上階まで登れない、登ることが大変な方の割合は、2割くらいいるかもしれません。日本に限らず、世界中で今後、高齢化は増していきますので、エレベーターを何とかして設置した方がいいと思います。

設置すれば、垂直移動困難者に限らず、展示品や建物の維持修繕時の材料荷揚げ、体調不良の来城者や災害時にも活用できます。

 

そのためにも「史実に忠実な復元」と「バリアフリー化」は、お互いにどこまで歩み寄れるかを話し合っていくことが大切で、構造的・意匠的・時代的などの総合的に議論が必要です。

「史実に忠実な復元」とはいえ、スプリンクラーや消火栓、照明器具など設置するそうで、配管や配線も当然必須です。

耐震的にも軸組工法のままだと強度が足りず、見えないところで鉄骨補強や現代的な金物で補強する可能性もあるとのことです。

(参考資料:令和5年6月3日 名古屋城バリアフリーに関する市民討論会 会議録P6下段)

 

13人乗りなどの一般的なエレベーターを設置するための立坑の確保に、梁間7尺1部の梁を各階数本ずつ間引く必要があろうかと思われますが、補強などすれば強度的に問題ないのではないでしょうか。

木造天守閣部高さ36mの伝統軸組工法ならば、免震工法のため鉄骨支保工の剛構造の一般的なエレベーターは、地震での揺れの周期の違いなどから設置は難しいのかもしれないが、伝統軸組工法+鉄骨補強や現代金物補強により剛構造に近づくのであれば、エレベーターの設置も不可能ではないのではないでしょうか。

近年、極太の集成材を構造材として利用した高層の木造建築にエレベーターの設置はされています。

 

(梁間芯々)7尺1分-(柱)1尺3寸6分=(梁間内々)5尺6寸5分

梁と梁の内法(内々の寸法)5尺6寸5分=1,712㍉

 

現在、MHIエアロスペースプロダクションの船用エレベーターを設置して地上1階まで車椅子などの人でも行けるように検討しているようです。

 

令和5年7月25日の障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークで私が質問した担当課の回答では、エレベーターの枠組みの外寸を1,600×1,500で考えているとおっしゃっていました。

ゆえに、梁と柱を変更しないことを大前提にしています。

 

 

議会でも、基本的な柱、梁の構造は一切変更しないと市長がおっしゃっていますが、そこから検証が必要では内相か。

もし、鉄骨や現代金物で補強を考えているのであれば、梁を動かさないことへのこだわりの理由が分かりません。

構造計算など研究しているのでしょうから、資料を公開すべきです。

 

名古屋市は、今まで障害者団体や高齢者団体からの意見を丁寧に聞き、丁寧に説明してきたと言っていますが、本当なのでしょうか。

(参考資料:令和5年6月3日 名古屋城バリアフリーに関する市民討論会 会議録P16中段)

 

ニュースや7月25日に実際に障害者団体との意見交換では、真逆のことを言っていました。

「史実に忠実な復元」と「バリアフリー化」との交渉の「みえる化」が必要ではないでしょうか。

7/25障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク(障害当事者議員集団)と地元の障害者団体・市民団体との意見交換

 

 

エレベーターを設置するか、しないかだけの話し合いでは、納得できない人が減りません。

梁や柱の変更はどれほど可能か、構造計算上どうなのか、意匠的にどうにかできるのかを同時に検証し、ここまではできる、できないのデータや資料を公開し、みんなが納得した上で進めるべきです。

一般的な公共施設ではないのですから。

 

公募の最優秀者の昇降技術の設置について、設置しない23.4%、1階まで設置16.9%、最上階まで設置47.2%という市民からのアンケート結果からも明らかです。

(参考資料:令和5年6月3日 名古屋城バリアフリーに関する市民討論会 会議録P27下段)

 

河村名古屋市長には、冷静に考えていただきたいです。

同時に、名古屋市議会の視野の広く大局観のある議論を引き続き応援します。

 

「史実に忠実な復元」と「バリアフリー化」は、対極的な問題ではなく、とても密接にからみあっているということを考えていただきたいです。

 

 

 

参考までに、8月21日に同ネットワークの役員と名古屋市長と面談し、市議会各会派の懇談を行いました。その内容や背景が、市民オンブズマン様のブログに掲載してくださっています。

https://ombuds.exblog.jp/29676203/

 

 

7/25 名古屋城の天守閣再建 障害ある議員「対立でなく対話」を訴え|NHK 東海のニュース

(高橋、参加しました。)

 

8/21 名古屋城天守閣 バリアフリー対策で障害者団体が市長と面会|NHK 東海のニュース

(高橋、役員でないため不参加でした。)

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コメント: 3
  • #1

    けんもち (金曜日, 25 8月 2023 23:30)

    白河小峰城天守閣は、あまりにも史実に忠実すぎて、最上階は、一般の人も入れないスペースになりました。
    私は大の歴史城好きの一ファンですが、文化庁から復元の条件として提示はされていますが、耐震性やすべてに配慮した公共性の視点も入れば、完璧な江戸時代や戦国時代へのタイムスリップさせるようなものは、明らかに無理です。令和には令和に合った建造物で、公共性とすべての人が安心安全が第一に保障されながら外観を復元すれば良いことで、まさかそこで時代劇の撮影とか目論んでいるならば、笑止千万であります。
    「捕らぬタヌキの皮算用」のあの名古屋市長さんでは、晩節を汚す行為。史実よりも今でしょう!木造にする建物の威光よりも見学する人権の尊重でしょう。観光よりもシンボル的ランドタワーマークとしての城の活用だと信じています。名古屋市民や愛知県民の良識な声で市長の暴走を止めたいですね。

  • #2

    細野直久 (土曜日, 26 8月 2023 08:08)

    遠方までお疲れ様です。
    皆様の「行動」が、名古屋市長と名古屋市が手掛ける名古屋城の復元が「誰もが安心して来場できる素晴らしい名古屋城」になり、世界に誇れるような素晴らしい見事な名古屋城の復元を成し遂げる事は今の名古屋市長、議会、行政、市民の使命でありこの仕事が誇り高き偉業として歴史に名を残す史実となることを願います。

    私も15才の時から建設業現場の第一線で働き!事故で車いすなり、工業高校建築科から逸脱しましたが、車いすになってからも建設業で働き時には現場に出た1人として悲しい話です。

    土木・建築業の素晴らしさはその仕事が構築物がずっとずっと使われて後世に残ることではないでしょうか?
    私が事故したその日まで手がけていた現場もたくさんの道路や駐車車、ビルや店や工場など、今も堂々と世に残っています。

    会議録の冒頭が悲しすぎます。
    時代錯誤ですね!

    行政文書の 一部を公開 しない理由(抜粋)

    名古屋市情報公開条例第7 条第1 項第1 号及び第7 号に該当す る た め 、 一部 を 非 公 関 と し ま す 。

    (第 7 条 第 1 項 第 1 号 )
    当該行政文書には、討論会における参加者の差別発言が 記載されている。 これを公開することにより差別発言の夜 害に遭われた方が精神的な苦痛を受けるおそれがあり、特定の個人を識別することはできないが、公にすることによ り、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものに該当するため。

    (第 7 条 第 1 項 第 7 号 )
    当該行政文書には、障害者基本法や障害を理由とする差別 の解消の推進に関する法律の理念である「全ての国民が、障害の有無に よって分け隔 てられることなく、相互に 人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」等に反する内容が記載されており、明らかに公にすることができない認められるため。

  • #3

    森晃 (月曜日, 28 8月 2023 13:46)

    高橋様

    名古屋城天守木造化の問題についてご注目いただきましてありがとうございます。
    私は、天守木造化に反対し、現存RC造天守の有形文化財登録を求める会の事務局をやっております、森と申します。
    https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/

    名古屋城天守木造化の以前から、河村市長の様々な問題に注目してきました。
    地域委員会、減税政策(歳出削減策及び市民病院の廃止など)、南京発言問題、
    河村市長の設立した地域政党減税日本の問題、あいちトリエンナーレ問題、知事リコール問題、
    問題は枚挙に暇がございません。
    https://ichi-nagoyajin.hatenablog.com/

    天守木造化については、バリアフリーも重要ですが、
    二方向避難路の不在、採算性の問題、そもそも「民意がある」とされた「2万人アンケート」の問題等
    様々な問題を含んでおります。
    https://ichi-nagoyajin.hatenablog.com/entry/2023/06/12/224711

    私は天守木造化問題が、障害者VS木造化推進派の衝突とならないように、
    バリアフリー以前の問題として、こうした防災上の観点、採算性、名古屋市が進めてきた施策の虚偽性を議論の対象としたかったのですが、力及ばず、現在のような形になり、残念に思っております。

    今後もお気づきの点がございましたら、ご指摘いただければ幸いです。